映画「すばらしき世界」を観ました
映画『すばらしき世界』本予告 2021年2月11日(木・祝)公開
先日、ブルク13にて、
映画「すばらしき世界」を観てきました。
緊急事態宣言の影響でどの映画館も20時に営業が終了とのことで、
こちらの作品も終了時刻がギリギリの20時。
時間つぶしのための映画だったので、同じ時間に上映の「花束みたいな恋をした」と、どっちを観ようか迷ったのですが、こちらの方が知らない世界を覗けそうだったので、「すばらしき世界」を観ることにしました。
あまり前情報が入ってない状態で観たのですが、
こんなに考えさせられるとは、正直想像してなかったです。
主人公の三上(役所広司さん)は、元ヤクザで、元殺人犯で、刑務所に13年収容され、その出所後の暮らしを描いているのですが、社会のレールから外れてしまった人の排除加減が、今の世の中えげつなくて、一度外れたら、普通の生活に戻ることがすごく難しいシステムになっていて、生まれ変わりたくても、スタート地点に立つことすら困難で、「始める」ことすらできないなんて、と、私はぞっとしてしまいました。
確かに暴力団は怖くて、悪くて、汚いイメージがあるけれど、
その世界から心を入れ替えて、更生しようと頑張ってる人も、なかなか認めてもらえず、だったら今まで慣れてた住みやすい世界に戻って、暮らしていきたいよ、と、逃げたくもなるよな、と。
社会のルールを、学校で教えてくれるわけでもないし、生い立ちによってはそうなってしまうのは仕方ないところだってきっとあるのに、この道に行くと、いずれ排除される、ということを知らないままその世界に入ってしまった若者たちは、死ぬまで復帰できないなんてとっても嫌だなあと。
弱いものを庇い、強いものに立ち向かい、怒る理由が明確で実直な人間よりも、弱いものをいじめ、陰湿な理由で人間を追い込む人間の方がずっと怖いのに、なぜ裁かれるのは前者なのか・・・。
普通の世界を生きていくために、弱いものを弱いものとして切り捨てる世界に、空の広さの素晴らしさを経験してしまったために、どうにかして、自分の罪悪感を騙してまで、溶け込んでいこうとする三上の表情が、とっても切なかったです。
ただどんな世界にも、絶対に優しい人はいるもので、
その人たちの、三上を心から慕う姿には救われました。
肩書とか生い立ちとかに、左右されない世界もある。その世界が広がっていくことを願うばかりです。ちゃんと人を見極められる人になりたいよね。
出会えてよかったです。